度数表から平均値と標準偏差を計算

ここでは、度数表から平均値と標準偏差を計算する方法を説明します。

大昔、今のように電卓やコンピューターのなかった時代に平均値や標準偏差は手計算されていました。データの数が少なければそれほど手間ではなかったのですが、データ数が多いと大変です。ヒストグラムはデータの数が最低50個必要だと言われています。50個のデータから平均値や標準偏差を手計算するのはとても時間がかかり、ミスも発生します。

そんなときに度数表を使うと平均値と標準偏差を簡単に手計算できます。

度数表の特徴

まずは度数表を見てみましょう。度数表には左からNo. 区間 中央値 チェック 度数とあります。度数表では、各区間のデータ数を表にしたものです。例えばNo.1の区間0.915~0.965には、度数1、つまり、データが1個入っているということです。度数とは、データの個数のことです。また、中央値は、各区間の代表値だと考えてください。度数表から平均値と標準偏差を計算するには、度数表の中央値と度数を使います。また、この度数表の区間の幅は0.05です。

度数表での数値変換

度数の右にの列を、さらにその右にの列を追加します。また、度数が一番大きいの値を0とし、No.の若いほうへ(上に)-1、-2、-3、また、No.の大きいほうへ(下に)1、2、3、4と記入しましょう。さらに、を計算します。下表のとおりです。

これは度数表上で中央値を数値変換していることになります(数値変換の詳細)。次の式を各中央値に適用していきましょう。

ここで、中央値を用いるのは、各区間に入っているデータは、全て中央値とみなして扱うからです。各区間の中央値をと置くと、

 となり、この式を各区間に適用していきましょう。

NO.1 
NO.2  ・・・となり、各区間のの値に一致します。

度数表から平均値

各区間のに度数をかけると各区間の合計が求まります。さらにの合計をデータの数50個で割るとの平均値を計算することができます。

の平均値が求まりましたので、の平均値に変換するため、次の式を適用します。上記の変換式を変形しただけです(数値変換の詳細)。

度数表から標準偏差

標準偏差を求めるため、まずは(偏差)平方和を求めます(平方和の計算詳細)。度数表にの行を度数表に追加します。

ここで、平方和の計算式を思い出しましょう(平方和の計算はこちら)。

これは、のことを言います。これを度数表のを使って計算してみます。
まず、上の表より、
  であるので、の平方和は、

となります。

は、それぞれ度数表のの合計から拾っています。

の平方和が求まりましたので、これをの平方和に変換していきます。ここで、次の変換式を思い出しましょう。

この変換式では、を0.05で割っています。言い換えれば、の0.05倍になります。ここでポイントですが、平方和はもとのデータを2乗していますので、倍したものと一致します。
つまり、となります。分散と標準偏差の計算はここを参照ください。